ISO14001

 ISO14001規格の大改訂が2015年に行われました。

 私は、ISO14001に1998年から取り組んできました。今回の改訂は、組織の活動、経営に役に立つ仕組みにすることを目標として改訂されています。その構築について簡単に説明します。

 

環境マネジメントシステム審査員補 登録番号:A22727

 

 ISO14001とは

 nISO(国際標準化機構)は、環境マネジメントに関わる様々な規格としてISO14000シリーズ(環監査、環境

 パフォーマンス評価、環境ラベル、ライフサイクルアセスメントなど)を作りました。

 この中で中心となるのが、「環境マネジメントシステムの仕様」を定めているISO14001です。

 

ISO導入のメリットは以下のような事項です。

(1)顕在的・潜在的リスクの解消、低減

(2)コストダウン

(3)企業の社会的責任能力の向上

(4)企業経営の総合的な雲底への貢献

(5)企業信頼性の向上

(6)取引関係の強化

(7)環境負荷の低減

 

ISO14001はシステム規格と言われており、具体的な実施事項を決めているものではありません。

 

 環境問題を切り口として、企業の本質的な経営に着目することで、経営ツールとして使用することを今回の改訂で明確に打ち出しました。

■将来の世代の人々が自らのニーズを満たす能力を損なうことなく、現在の世代のニーズを満たすために、

 環境、社会及び経済のバランスを実現することが不可欠であると考えられています。持続可能な運営は、

 上記のこの”三本柱”のバランスをとることによって達成されるでしょう。

■法規制の強化、資源の利用や汚染による環境への負荷の増大、資源の非効率的な使用、不適切な廃棄物処

 理、気候変動の拡大、生物多様性の喪失に伴い持続可能な発展、組織の透明性及び環境マネジメントシス

 テムを実施することによって効率的な組織経営を構築・推進する必要性が高まっています。

 

<効率的な組織運営の取り組み事項>

■今回の改訂では環境マネジメントのための体系的な取り組みは、持続可能な運営に寄与することについて、

 種々の情報をトップマネジメントに提供することを意図したものです。

■環境マネジメントシステムが有効に機能するかどうかは、トップマネジメントに掛かっています。

■トップマネジメントは、他の事業上の優先事項を考慮し、整合させながら、環境マネジメントを組織の事業

 プロセス、戦略的な方向性及び意思決定に活用し、組織の全体的なマネジメントシステムに組み込むこと

 によって、リスク及び機会に効果的に取り組むことができることを意図しています。

 

<狙い>

■有害な環境影響を防止又は緩和することによって、環境を保護する。

■組織が遵守義務を満たすことを支援する。

■環境パフォーマンスを向上させる。

■ライフサイクルの視点を用いることによって、組織の製品及びサービスの設計、製造、流通、消費及び廃棄

 の方法を管理し、又はこの方法に影響を及ぼす。

■市場における組織の存在意義を高め、必要により、環境にも健全な代替策を実施することで財務上及び運用

 上のメリットを実現する。

■組織は、有害な環境影響を防止又は緩和し、有益な環境影響を増大させるように組織を運営するように方

 づける。環境マネジメントシステムの根底にあるアプローチの基礎は、Plan-Do-Check-Act(PDCA)と

 いう概念に基づいている。

■Plan:組織の環境方針に沿った結果を出すために必要な環境目標を制定し、 計画するプロセスを確立す

    る。

■Do :計画に従いプロセスを実施する。

■Check:環境方針、環境目標及び運用基準に照らして、プロセスを監視し、測定しその結果を継続的に把握

     する。

■Act :活動の状況を把握し、次の改善につなげる。

 

 省エネルギー活動

 地球温暖化の原因と考えられるCO2を削減するために、省エネルギー活動の必要性が高まっています。省エネルギー活動と言うと何か難しいように聞こえますが、一番の目的はコスト削減です。省エネルギー活動を推進することにより、燃料費や電力代が節減でき、費用の削減に寄与します。省エネルギーを推進しましょう。

 省エネルギー活動のポイントは次のような事項です。

 ・無駄にエネルギーを使っていないか。休憩時間に機械の電源を入れっぱなしにしているなどです。

 ・エネルギーが流出していないか。特に熱エネルギーは無駄になるケースが見受けられます。

 ・エネルギーを発生する装置の効率を向上させることが重要です。ボイラーの効率など。

 ・エネルギーの使用側、つまり使う側では効率のよい装置を使うことです。

  例えば、10年前のエアコンと最新式のエアコンでは30%程度、省エネタイプになっています。

 

 まずは、設備投資を必要としない事項から推進し、コスト対効果を考えながら、次にやるべきことを考えるとよいと思います。また、公的な補助金を活用することにより回収年限の短縮が図られ、補助金がない状況では投資が難しい案件でも実施可能となることがあります。近年、省エネルギー投資の補助金の予算が増大されていますので、活用しましょう。そのためには、省エネ案件を常々検討しておくことが重要です。補助金の募集が発表されてからでは間に合わないことが多いと思います。

 ESCO事業(省エネ実施の成功報酬型とも言える内容)を利用する方法も有効です。

 

 職場の省エネルギー活動を推進しましょう。省エネルギー活動もISO14001の活動と言えます。

 

省エネルギーのポイント

  省エネルギーとは、会社においてはコストダウン、家庭においては出費の節約に繋がります。さらに、日本の海外への燃料費の支払いを少なくし、発電所の数を増やさないことにつながります。日本はエネルギー源のほとんどを海外に頼ってきました。海外にお金を払ってエネルギー(石油や石炭、天然ガスなど)を購入してきました。海外に払うエネルギー費用を低減するためには、省エネルギー活動が不可欠です。また、地球温暖化の主原因である空気中の二酸化炭素の増加を押さえることにもなります。エネルギーを効率よくすること、自然エネルギーを活用することが空気中の二酸化炭素の増加を抑えることになるのです。

 

 

 

 

<家庭での省エネ活動のポイント>

 家庭での省エネルギーのポイントについて考えてみましょう。

・電気製品の待機モードをできるだけ使わない。

・エアコンに頼り過ぎず、外気を有効に活用する。

・打ち水などを活用し、過度にエアコンに依存しない。

・家を建てるときは、夏場の環境を考えてた風通しのよい設計とする。同時に、冬場の熱の流出を防ぐため

 に、窓の設計を考慮し、断熱性能の高いものを選らず(熱の出入りは窓が一番大きい)。

・ヒートポンプ方式のエアコン(温暖化係数が小さい冷媒使用)を使う。

・ブラインドやカーテンを効率よく使い、室内への熱の侵入を低減する。

・余裕があれば、太陽光発電や夜間電力を使う機器の導入を考える。

・人のいない部屋の電灯やエアコンはできるだけ消す。 

<事業所での省エネルギーのポイント>

 事業所の省エネルギーは、大きな効果が期待できることがあります。自治体等で無料の省エネ診断も行われているので、活用することも考えてはどうでしょうか。

使っていない設備の電源はできるだけ、元から切るようにしましょう。春や秋にエアコンの電源が接続さ

 れていると、スイッチを入れていないでも電力を消費しています。まったく必要のない電力ですので、元

 電源から切るようにしましょう。また、連続操業していない工場でもコンプレッサーや待機電力などを切

 らないでスイッチを入れっぱなしにしている場合があると思います。止められないか検討し、できるだけ

 止めるようにしましょう。

・工場では、クリーンルームや恒温室などに使用している冷凍機などで室外にクーリングタワーを設 置して

 います。冬場は外気温が低いので、室外のクーリングタワーを運転する必要がない場合が あります。でき

 るだけ停止するようにするべきですが、凍結防止の観点から一部を運転する(使わ ない装置は水を抜く)

 方法に変えることで省電力になります。また、夏場冬場で管理温度を多少、上下することも検討しましょ

 う。クリーンルームは生産していない場合でも運転してい ることが多いのですが、外気を遮断し結露を防

 ぐ設計として、できるだけ止められる設備にしま しょう。

受電設備などは将来の拡張などを考慮して余裕を持った受電設備容量になっている場合がありま す。しか

 し、変電設備は40~70%の負荷率で一番良い効率になるように設計されています。過度 の余裕を持っ

 た設備設計はムダを発生させていることになります。

・電気料金は、最大需用電力による料金体系になっています。デマンド管理を徹底し、最大電力を下 げる努

 力をしましょう。

・ほとんどの工場にはコンプレッサー(空気圧縮機)が設置されています。圧縮空気は非常に便利な ものな

 ので、過剰に使う傾向があります。配管のシール不良などによるエアー漏れが発生しやすいために、点検

 し対策を実施しましょう。エアー配管はループにし、空気タンクを設置して圧力の変動を低減しましょ

 う。また、エアーブローなどに圧縮空気を使っている場合には、ブロアーで代用できないか検討しましょ

 う。圧縮空気圧を下げることも省エネになります。

エアコンなどの古い機器は効率の低下した状態で運転されていることがあります。10年前の機器と比べ

 るとは、現在のエアコンは30%以上省エネタイプになっています。また、冷媒ガスもオゾン層破壊係数

 ゼロ、温暖化係数が低いガスに変わってきています。15年以上前に導入した機器では更新を検討しま

 しょう。国や自治体の省エネ補助金を活用することも有効です。

・照明機器は過度の照度になっていないか、点検しましょう。照度は作業により、その基準が労働安全衛生

 法で規定されています。作業によっては、あまりにも明るいと、眼精疲労の原因ともなります。また、電

 力節減の観点からは、LED照明機器に変更することも効果があります。更新時期になっている照明機器は

 見直しましょう。省エネ補助金の対象ともなっています。

・地下水や地下熱の活用を検討しましょう。近年、地下熱の活用が推奨されてきています。地下の温度は、

 1年を通じて安定しており14℃~16℃程度です。これらの地下熱をエアコンの熱源に活用することが

 有効です。井戸水を使っている工場では、冬場はボイラー補給水として、夏場は冷房の補助にできないか

 検討しましょう。

・ボイラーのドレン回収率を上げましょう。設備の熱源として、ボイラーを活用されている工場も多いと思

 います。ボイラーで発生した蒸気は仕事を終えて、温水になります。この温水をできるだけ回収利用する

 ことがボイラー効率向上のために有効です。熱の回収だけでなく、ボイラー薬品の節減にもなります。配

 管やバルブからの放熱を低減しましょう。バルブは設備管理の煩わしさから、保温していないことがあり

 ますが、フレキシブルの取り外ししやすい保温材が市販されていますので、活用することで効果がありま

 す。熱が無駄になっていないか、ボイラー供給空気の予熱に活用できないかなども検討しましょう。

・古いモーターを更新するときは、省エネモーターの活用を検討しましょう。

・出力を変動する機器ではインバーターの導入を検討しましょう。ただし、インバーター自体が2%程度の

 電力消費すること、耐用年数があり更新が必要であることも考慮して導入を検討しましょう。出力変動が

 少ない機器ではプーリーの入れ替えなどで対応したほうがよい場合もあります。

・ガスタービンの出力ダウンをできるだけ小さくして発電するために、夏場には気化熱を利用してガスター

 ビンの導入空気を冷やしましょう。大きな効果があります。